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1996年3月25日放送分 珍肉番付 - 深夜の馬鹿力データベース

1996年3月25日放送分 珍肉番付

 僕は毎年神宮球場で売り子のアルバイトをしているのですが、去年の春入ってきた似鳥君は、とっても変わった人でした。
 似鳥君は年格好は16歳から30歳後半で、ピッチャーのブロスの背を少し高くしたような人で、いつもクラウンライターライオンズの帽子をかぶっている、頭の中にIDの"あ"の字も無いような男でした。

 彼の初日のヤクルトvs巨人戦、僕らは似鳥君(ニックネームはエッフェルに即決定)が即戦力である事を確信しました。この大型ルーキー、普通のバイトなら30個も持てば泣き声を出すような幕の内弁当を前に50個、後ろに50個、計100個かついで小走りに観客席に消えていったからです。
 しかし、似鳥君を2年目のジンクスならぬ20分後のジンクスが襲ったのです。弁当を全て空にして戻ってきたエッフェル塔が泣いています。よくよく聞いてみると、「背番号が3X5で、黒光りしたハゲがボールをぶつけた~」とのこと。目撃者の話と照らし合わせると、どうもミューレンの打った練習ボールが側頭部を直撃したらしいのです。

 泣きゲロ混じりのエッフェルとともに、弁当を置いてきた外野席に行くと、100個あったはずの弁当が30個ほどしかありません。そしてそのすぐ横で少年野球チームのクソガキどもがいっせいに幕の内を食べており、泣きながらエッフェルがお金を要求しても、「これさ、お母さんが作ってくれた弁当だから」の一言で、結局試合開始を前に70個の弁当をタダで配り、チーフから「あのねえ君ねえ、もう既に12万?12万の損害だから。歩合から言っても600個弁当を売らなきゃ給料はマイナスだ!」などと怒鳴られ、前後左右に50個、前にはもう50個の250個の幕の内弁当を持って、バベルの塔となったエッフェルはネット裏に消えていきました。
 その後も外野で大きな球団旗を振っている満面笑顔のエッフェルや、お客さんに「見えないぞこのオバケ煙突!」と怒鳴られほふく前進しているエッフェルがオーロラビジョンに大写しになり、僕らを心配させたものの、持ち前のキャラクターで幕の内弁当は徐々に売れていきました。

 そして試合終了間近、3塁側のスタンドでエッフェルとすれ違うと、弁当はなんと残り30。背中には「僕はゴーレム、弁当を売って人間にしてもらうのです」と書いた紙が貼られてました。少年野球のクソガキの仕業であろうキャッチーコピーに大笑いしていると、後ろの方から大きな声が。
 「お弁当屋さーん、ゴーレムのお弁当屋さーん?」振り向くとお金を握り締めたおばさんの姿。「お弁当屋さん、おつりが6万円多かったわよ。」

 その瞬間、エッフェルの試合開始前のコメントを僕は思い出しました。「背番号が3X5の、黒光りするハゲにボールをぶつけられた~」ぶつけたのはミューレン。ミューレンの背番号は9。3X5は15。エッフェルに計算能力はなかったのです。
 恐る恐るエッフェルの集金袋を見てみると、250X1020円で30万近い金が入っているはずが、おばさんの持ってきた6万円込みで6万8円。1円玉があること自体おかしいのですが、エッフェルは笑っている。

 そしてエッフェルが笑っている間に代打逆転サヨナラホームランが出て、ヤクルトは勝ちました。そしてその5分後に、エッフェル君もサヨナラホームランになっていました。

 [大関]


 小学校6年生の時に、同じ少年野球チームで同級生だった糸居君の珍肉純情物語を聞いて下さい。

 あれは夏休み、僕と糸居君は毎日少年野球の練習に明け暮れていました。僕も糸居君もさわやかないい汗をかいていたのですが、昼休みや練習後、いつも「涼んでくる」と言って近くの橋の下へと姿を消していっている糸居君が気になって仕方ありませんでした。かといって付いて行こうとしても、梅酒を飲ませなかった時の藤田朋子よろしく、本気で暴れられてしまい、追い払われてしまいます。

 そんなある日、山口県を大型台風が襲いました。もちろん野球は中止です。その豪雨っぷりがニュースで伝えられているのを見て、何故か子供心にわくわくした僕が窓の外を見ると、目の前の道を水しぶきを上げて全力疾走する糸居君の姿があるじゃないですか。僕は一体彼に何が起こったのかと、母の制止も聞かず追いかけてみました。
 走って行ったのはいつも野球の練習をしているグラウンドの方向です。「こんな雨の日でも糸居君は練習する機なのか?」と驚きながら付いていくと、やはり土手のグラウンドに着きました。
 そこはまさに河。一歩足を踏み入れると膝ぐらいまで泥水に浸かってしまいます。そんなグラウンドを一直線で駆け抜ける糸居君。ホバークラフト並のスピードで河の方へ進む糸居君。その先はいつも糸居君が涼む例の橋の下だったのです。

 しかし河の水はどしゃ降りによって3段ある土手の1段目を完全に塞いでいました。ここで初めて糸居君の顔の表情が見えましたが、彼はかなりマジ、目が血走っていて必死でした。そして彼は河に腰まで浸かりながら橋の下へと一目散。
 その時です。彼の姿が水面に消えたのです。僕はビックリして大人を呼びに行こうかと思っていると、今度は5m手前の泥水から糸居君がUボートよろしく頭を出したのです。そして頭上に掲げられているのは…エロ本でした。

 これ以上エロ本を濡らすまいと目一杯エロ本を天高く掲げ、岸へ戻ろうとする糸居君。しかし行きはよいよい帰りはこわい。さっきよりも数段水かさが上がっているのです。糸居君は何とかエロ本を頭上で保護しながら、岸へ上がろうとするものの、どんどんと体は水に浸かっていき、しまいには泥水の中から両腕とエロ本が伸びているだけになっていました。それでも糸居君は歩いていました。力強く1歩1歩。その姿を見て僕は泣いていました。

 かなり移動が困難になった時、初めて糸居君が僕の姿に気付きました。僕が「糸居君、もう危ないよ。お巡りさんを僕呼んで来るよ。」と叫ぶと、「それだけはやめてくれー、このオッパイは俺の命だー!!」との声。
 もし糸居君がここで死んだら、銅像を建てよう。二宮金次郎にも負けない、頭の上にエロ本を掲げた銅像を作ろう。そんなことを考えているうちに、何とか岸にたどり着いた糸居君。

 大事に運んできたずぶ濡れのエロ本に少し涙目になりながら、豪雨の中を勇ましく歩いていきました。僕はその糸居君の後ろ姿にエロスの神様を見たのでした。

 [大関]

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