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1996年1月29日放送分 珍肉番付 - 深夜の馬鹿力データベース

1996年1月29日放送分 珍肉番付

 こないだ伊集院さんが野球部の合宿の話をしていたのを聞いて思い出しましたが、僕が所属していた野球部にも柏原君という、プッチンプリンのバックダンサー風の男がおりました。

 うちの部は過去に甲子園にも何度か出たことがある学校だけに大変厳しく、入学4月のスタート時には100人近くいた新入部員が、3ヶ月で50人足らずに減り、夏休みの恐怖の合宿で12、3人になってしまうというほどで、その急激な減り方はまるでおニャン子クラブの芸能人の如くです。もはや生稲もいません。そういうような状況です。

 そんな新入部員の1人だった柏原君、野球の実力はずば抜けていて、特にバッティングは全部員の中でもトップクラスのものを持っており、時々練習ボールをたくさん並べて、「このボールはボールの国から弟ボールを探しに来たお兄ちゃんボールだから、打つの禁止。」とかいう事を言う以外は、期待の新入部員でした。

 その年の合宿も大変厳しいもので、9泊10日の1日目の午前中にして、千本ノックのきつさに2人が脱落、うさぎ跳びで3人脱落、お兄ちゃんボールを打ったことで1人退部。
 そんな嵐の予感の昼下がりに、事件は起きました。
 午後の最初のメニューは軽いランニング、のはずでした。部員全員が整列して、さあ走り出そうとした時、柏原君が急に提案をしました。
 「イチニ、イチニの掛け声じゃつまらないから、皆で歌を歌いながら走ろうよ。」
 ここで柏原君の機嫌をもし損ねたら、いつ何時「おーい、今お前が打ったボールを良く見てみろー、泣いてるじゃないか!何でだかわかるかー!お兄ちゃんボールだからだ!」などと怒られるからたまったもんではありません。
 こうして仕方なく、僕らのランニング歌合戦が始まったのです。

 「おーブレネリあなーたのおうちはどこー」と2年生が歌うと、1年生が「わたーしのおうーちはスイスランドよー」。
 真夏のグラウンドにこだまする、男子ばかり70人の歌声。1曲終わるごとに次の部員が歌いだし、それが終わると次。
 しかも流行歌など柏原君の知らない歌をチョイスすると怒るので、童謡ばっかり70曲。

 いよいよ69曲目の「いっぽんでもにんじん」が終わった時には、軽いランニングどころか3時間走りっぱなし。部員全員疲れ果てていました。
 その地獄もあとは柏原君の1曲を残すだけとなって、多少皆の顔にもやる気が戻ってきたその時、柏原君は歌い出しました。

 「アーイスクリーム好っきですかぁ~?」
 聴いたこともない歌に皆がきょとんとしていると、柏原君急に立ち止まり、「どうしたの、みんな続きは?」。
 もはや99%死んでいるキャプテンの加倉井さんが、「いやー、あのねえ柏原。この歌、何ていう歌?」と聞き返すと柏原君、「今僕が作る歌。」との答え。
 そして言うや否やランニングを再開し、「アーイスクリーム好っきですかぁ~?」。

 仕方なくキャプテンが「はいはいとっても好っきですよ~」とついて行くと、どうもそれで合っているらしく、「どうしてそんなに好っきなのよ~」とご機嫌な歌声。
 「とっても冷たいから~」「そーれだけーじゃないでしょね~」「あとあとちょっぴり甘いしね~」と、そこから先は延々と「どーんな味が好きなのよ~」「スートロベリーが大好きよ~」だの、「当たりが出たらもう1本~」だのと意味のない歌詞が2時間。

 既にほとんどの部員が倒れてしまい、その屍を踏まないように1人きりの生存者が「溶っけないように冷蔵庫~」という地獄絵図の中、ついに「ぼーくはアイスが好ーきーなーのーよ~」と歌い上げる柏原君。
 その時なぜか、皆は泣いていました。
 僕もキャプテンと抱き合って泣いていました。
 みんなみんな、涙が止まりませんでした。

 …柏原君が、「2ばーん!」と言うまでは。

 P.S. その後合宿のスケジュールは変更され、2日目から7日目までは休み、練習再開後の8日、9日、10日目もみんな、マネージャーが買ってくるアイスクリームを見ただけで戻していました。

 (鳩ヶ谷・PN:大野ガンバレ)

 [横綱]


 さて珍肉ですが、うちの近所によく来る明らかに江戸っ子と分かるラーメン屋台の親父についてちょっと聞いて下さい。

 この親父、ラーメンの注文の仕方が少しでも気に入らないと、すぐに「帰れ!」と叫び、それでも帰らないとさらに塩をまくならまだしも、どっからかっぱらってきたのかタバコ屋や米屋の軒先に掲げてある、紺に「塩」と書かれた看板で殴ってきます。
 出すラーメンも500円の江戸っ子ラーメンのみで、500円玉で支払おうとしても「おいおい、そんなオモチャで俺をごまかそうなんて2ヶ月はえーよ。」などと言って500円札ではないと受け取ってくれません。
 釣りが出ても怒るので、みんな仕方なく100円玉5つで払っています。

 そんな親父の屋台である夜、事件が起こりました。
 いつも通り客の席を指名して座らせる親父。初めて顔を見せる客でしたが、無口な所を親父が気にいったらしく、お客は何事もなくラーメンを食べ終わりました。
 しかし、その客はラーメンの汁を飲み終えると共にクラウチングスタート。そう、食い逃げだったのです。
 すると親父の目は一転、仕事人の目に変わり、そして犯人がもうずいぶん先まで逃げているにもかかわらず、まだラーメンを食べている僕たち他の客にお構い無しに、屋台を引きながら追っかけ出したのです。

 その速いこと速いこと。ドーピングしているのではないかというようなスピード。
 ガラガラと落ちるおたまや、ラーメンの容器。
 路上に棒立ちで、ラーメンを持ったまま立ちすくむ僕ら。
 必死で逃げる食い逃げ男。
 闇夜に赤い提灯の残像をにじませ、走る屋台。
 下り坂に差し掛かる屋台。
 加速する屋台。
 一瞬宙に浮く屋台。
 結局、男は屋台でひき潰され、警察に突き出されていました。

 最近、親父の吹くチャルメラが聞こえて勉強部屋から顔を出すと、屋台が見当たらないことがあるんですが、僕は「とうとうあの親父、音速を超えたなぁ」と判断しています。

 (東京都中野区・PN:テレフォンもんがもんが)

 [横綱]

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